入社月・退社月の社会保険料の計算|退職した月の保険料は引かれる?

給与計算実務

給与計算の実務をしていると、「退職した月の社会保険料はどうすればいいの?」と迷う場面が出てきます。

実は、退職日が「月の途中」か「月末」かによって、社会保険料の徴収が変わります。間違えると従業員への精算が発生するため、正確に理解しておくことが重要です。

この記事では、退職月・入社月の社会保険料の扱いについて、具体的な例を交えてわかりやすく解説します。

社会保険料の徴収ルール:基本の考え方

【ポイント】資格喪失日の属する月の前月分までが徴収対象

8月
徴収あり ✓
9月
徴収あり ✓
10月
← 前月(最後)
11月
資格喪失月
12月
徴収なし
▲ 徴収対象(前月分まで)
▲ 喪失月
▲ 対象外

例:11月に資格喪失 → 10月分まで徴収。11月以降は徴収なし。

社会保険料(健康保険・厚生年金)は、資格喪失日の属する月の前月分までが徴収の対象となります。

ここで重要なのが「資格喪失日」の概念です。

退職した場合、資格喪失日は退職日の翌日になります。

  • 10月20日退職 → 資格喪失日は10月21日
  • 10月31日退職 → 資格喪失日は11月1日

この「資格喪失日が何月か」によって、最後に徴収される月が決まります。

退職日が月の途中だった場合

例:10月20日退職(月の途中)

9月
徴収あり ✓
10月(退職月)
徴収なし ✗
11月〜
徴収なし ✗
📅 退職日:10月20日 → 資格喪失日:10月21日(10月内)

資格喪失月が10月のため、徴収対象は前月=9月分まで。退職月(10月)の保険料はかかりません

たとえば、10月20日に退職した場合を見てみましょう。

  • 退職日:10月20日
  • 資格喪失日:10月21日
  • 資格喪失日の属する月:10月
  • 徴収対象:資格喪失月(10月)の前月=9月分まで

つまり、退職した月(10月)の社会保険料は徴収されません

10月の給与から社会保険料を引く必要はなく、最後に徴収するのは9月分(通常は10月支払いの給与で控除)となります。

退職日が月末だった場合

例:10月31日退職(月末)

9月
徴収あり ✓
10月(退職月)
徴収あり ✓
11月〜
徴収なし ✗
📅 退職日:10月31日 → 資格喪失日:11月1日(11月)

資格喪失月が11月のため、徴収対象は前月=10月分まで。退職月(10月)の保険料もかかります

次に、10月31日に退職した場合を見てみましょう。

  • 退職日:10月31日
  • 資格喪失日:11月1日
  • 資格喪失日の属する月:11月
  • 徴収対象:資格喪失月(11月)の前月=10月分まで

つまり、退職した月(10月)の社会保険料も徴収されます

月末退職の場合は、通常より1ヶ月分多く社会保険料がかかる点に注意が必要です。最終給与では2ヶ月分の社会保険料をまとめて控除するケースもあります(給与支払い方法による)。

2つのケースを比較する

退職日資格喪失日退職月の社会保険料
月の途中(例:10月20日)10月21日徴収されない
月末(例:10月31日)11月1日徴収される

月末退職は「退職月の保険料もかかる」という点が、月の途中退職と大きく異なります。退職を検討している従業員から相談を受けた際にも、この違いをきちんと説明できるようにしておきましょう。

入社月の社会保険料はどうなる?

退職だけでなく、入社月のルールも確認しておきましょう。

社会保険の資格取得日は入社日当日です。入社した月から社会保険料の対象となります。

ただし、給与からの控除タイミングには注意が必要です。多くの会社では翌月控除(当月分の保険料を翌月の給与から差し引く)を採用しているため、入社月の保険料は翌月の給与から控除されることが一般的です。

たとえば10月1日に入社した場合、10月分の社会保険料は11月支払いの給与から控除されます。

実務上の注意点

最終給与での精算に気をつける

月末退職の場合、最終月の給与が少ないと2ヶ月分の社会保険料を控除しきれないことがあります。その際は退職者に差額を請求する必要が生じるため、事前に確認しておくと安心です。

従業員への説明

月の途中で退職した従業員から「なぜ退職月の保険料が引かれていないの?」と問い合わせが来ることがあります。上述のルールに基づいて、「退職日翌日が資格喪失日となり、その月の前月分までが徴収対象のため、退職月分は発生しない」とわかりやすく説明しましょう。



まとめ

  • 社会保険料は「資格喪失日の属する月の前月分まで」が徴収対象
  • 資格喪失日は退職日の翌日
  • 月の途中退職 → 退職月の社会保険料はかからない
  • 月末退職 → 退職月の社会保険料もかかる
  • 入社月は入社日から対象となり、翌月控除が一般的

退職日が1日違うだけで社会保険料の徴収が変わるため、給与計算担当者は退職日を正確に把握したうえで処理するようにしましょう。

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