育休から復帰して初めてのボーナス支給日。
「久しぶりにボーナスだ!」と明細を開いたら、思っていたよりずっと少ない金額が並んでいた——。
そんな経験をした方、実は少なくありません。
育休復帰後のボーナスには、社会保険料の免除ルール・復帰タイミングによる控除の変化・査定への影響など、知らないと損をするポイントが存在します。
この記事を読めば、「なぜ少ないのか」の理由がわかり、明細書を見たときに慌てずに済むようになります。
1. 育休中の社会保険料免除はいつ終わる?復帰タイミングで変わる控除開始月
まず基本として、育休中は社会保険料は免除されます。これは従業員も会社も共にです。
社会保険料の控除が再開されるのは「育休が終了した日の翌日が属する月」からです。復帰日によって控除が始まる月が変わるため、下記の表で確認してください。
| 復帰日 | 社会保険料が再開される翌日 | 控除開始月 |
|---|---|---|
| 6月1日(月初) | 6月2日 | 7月から |
| 6月30日(月末) | 7月1日 | 7月から |
| 7月15日(月中) | 7月16日 | 8月から |
月初復帰も月末復帰も、同じ月に復帰すれば控除開始月は変わりません。月をまたいで復帰した場合に控除開始月が1ヶ月ずれます。復帰した月から給与の手取りが減ると感じるのは、このためです。
2. 育休中に支給されたボーナス(賞与)も保険料免除になる?手取り額で比較
育休中でも社会保険料は控除されません。ポイントとなるのは、「賞与支給日が属する月の月末が、育休期間中かどうか」です。月末が育休期間内であれば、社会保険料は全額免除となります。
支給日と育休期間の関係:具体的な日付例
| 賞与支給日 | 育休終了日 | 支給月の月末 | 社会保険料 |
|---|---|---|---|
| 6月25日 | 6月30日(月末まで育休) | 育休期間内 | ✅ 全額免除 |
| 6月25日 | 6月14日(月中に育休終了) | 育休期間外 | ❌ 通常控除 |
| 7月10日 | 6月30日(前月末まで育休) | 育休期間外 | ❌ 通常控除 |
仕事復帰後は、復帰時点で決定した標準報酬月額に沿って社会保険料が控除されます。
育休中の賞与と復帰後の賞与:手取り額を比較
【条件】賞与総額:30万円 / 前月給与:25万円(標準報酬月額)/ 扶養親族:0人
| 育休中に支給 | 復帰後に支給 | |
|---|---|---|
| 賞与額 | 300,000円 | 300,000円 |
| 社会保険料 | 0円(免除) | 約47,250円(約15.75%) |
| 所得税 | 約12,000円 | 約10,300円 |
| 手取り額 | 約288,000円 | 約242,450円 |
| 差額 | 育休中の方が約45,550円手取りが多い | |
※所得税は前月の給与をもとに算出。育休中でも所得税は控除されます。
※社会保険料率は協会けんぽの概算値を使用(地域・年度により異なります)。
3. 育休明け・復帰後初めてのボーナス(賞与)から引かれるものと計算方法
仕事復帰後の賞与から控除されるのは、社会保険料・所得税があります。
賞与の社会保険料の計算方法
社会保険料は【標準賞与額(総支給額の1,000円未満を切り捨て)× 保険料率】で計算します。賞与の社会保険料には上限があるので、その上限を超えた部分には控除されません。
賞与30万円の場合の社会保険料内訳は以下のとおりです。
| 保険の種類 | 本人負担率(目安) | 賞与30万円の場合 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 約5.0% | 約15,000円 | 都道府県・年度で異なる |
| 介護保険料 | 約0.9% | 約2,700円 | 40歳以上のみ |
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 約27,450円 | 全国一律 |
| 雇用保険料 | 0.6% | 約1,800円 | 切り捨て前の総支給額に対して計算 |
| 合計 | 約15.75% | 約46,950円 |
※詳細は下記の記事を参照
【 ボーナスで社会保険料が引かれたのに、給与からも引かれるの?その理由をわかりやすく解説 】
賞与の所得税の計算方法
所得税は次のような計算をします。ちなみに住民税は賞与から引かれることはありません。住民税は前年度の所得をもとに計算され12回に分けているため、賞与からは引かれないのです。
賞与の手取り計算フロー
賞与の手取り額は、次の順番で計算されます。
| ステップ | 内容 | 計算例(賞与30万円・扶養0人) |
|---|---|---|
| ① 賞与総額 | 支給される賞与の額面 | 300,000円 |
| ② 標準賞与額 | 総額の1,000円未満を切り捨て | 300,000円 |
| ③ 社会保険料を差し引く | 標準賞与額 × 保険料率(約15.75%) | ▲46,950円 |
| ④ 課税対象額 | ②から③を引いた額 | 253,050円 |
| ⑤ 前月給与で税率を決定 | 前月給与25万円・扶養0人 → 税率4.084% | 税率:4.084% |
| ⑥ 所得税を差し引く | 課税対象額 × 税率 | ▲10,300円 |
| ⑦ 手取り額 | 賞与総額 − 社会保険料 − 所得税 | 242,750円 |
育休明け賞与の手取り:扶養あり・なし比較
扶養親族の有無によって所得税の税率が変わるため、手取り額に差が出ます。社会保険料は扶養の有無にかかわらず同額です。
| 項目 | 扶養0人 | 扶養1人 |
|---|---|---|
| 賞与総額 | 300,000円 | 300,000円 |
| 社会保険料合計 | 約46,950円 | 約46,950円(変わらない) |
| 所得税の税率 | 4.084% | 2.042% |
| 所得税額 | 約10,300円 | 約5,200円 |
| 手取り額 | 約242,750円 | 約247,850円 |
| 差額 | 扶養1人の方が約5,100円手取りが多い | |
社会保険料と所得税の賞与の計算方法に関しては下記の記事を参照してください。
【ボーナスで社会保険料が引かれたのに、給与からも引かれるの?その理由をわかりやすく解説】
4. 育休を取ったら賞与(ボーナス)を減らされた…査定への影響と違法になるケース
賞与の金額を計算するにあたり、査定期間というものがあります。その期間の出勤率などをもとに賞与の金額を計算します。賞与の査定期間に育休の期間が含まれる場合、賞与の金額に影響することもあります。
| ケース | 内容 | 違法? |
|---|---|---|
| 育休期間を査定対象外にする | 各社の就業規則に基づき、育休中の不就労期間を査定から除外する | ✅ 適法(就業規則による) |
| 育休期間を超えて査定対象外にする | 実際の育休期間より長い期間を査定から除外するなど、過大解釈する | ❌ 違法の可能性あり |
| 育休取得を理由に賞与をゼロにする | 育休取得そのものに対するペナルティとして賞与を支給しない | ❌ 違法(育児・介護休業法第10条・16条) |
不明点がある場合は、まず会社に確認しましょう。それでも解消しない場合は、所轄の労基署に相談することも検討してください。
5. まとめ:育休復帰後のボーナス(賞与)で確認すべき3つのポイント
育休復帰後の賞与を受け取ったら、以下の3点を明細書と照らし合わせて確認しましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| ① 賞与の支給タイミング | 支給日は育休中?それとも復帰後? |
| ② 社会保険料の控除 | 育休中の支給なのに社会保険料が引かれていないか確認する(復帰後は引かれて正常) |
| ③ 賞与の金額に疑問がある場合 | 会社の就業規則を確認 → 納得できなければ労基署へ相談 |
賞与の明細書を見たときにテンションが上がると思います。会社員ならあまり深く考えずに支給される(であろう)賞与ですが、仕組みを知っておくことで「思ったより金額が少ない(多い分には問題ないですよね)」となったときに慌てずに済みます。




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