「うちのパートさん、社会保険に入れないといけないの?」「106万円と130万円の壁、どっちが関係あるの?」——パートタイマーの社会保険加入については、担当者からの問い合わせが特に多いテーマです。法改正が続いており、2026年時点での最新ルールを正確に把握しておくことが重要です。
この記事では、パートタイマー・アルバイトの社会保険加入の判断基準と手続きを、会社側(担当者)の視点でわかりやすく解説します。
パートの社会保険加入|2つの基準を理解する
パートタイマーの社会保険(健康保険・厚生年金)加入には、大きく2つの判断基準があります。混同しやすいため、まずここを整理しましょう。
基準①:4分の3基準(従来からある基準)
パートタイマーが以下の両方を満たす場合、会社の規模に関わらず社会保険への加入が必要です。
- 1週の所定労働時間が、同じ職場の正社員の4分の3以上
- 1ヶ月の所定労働日数が、同じ職場の正社員の4分の3以上
たとえば正社員の週所定労働時間が40時間の場合、週30時間以上働くパートは加入対象となります。この基準は企業規模に関係なく適用されます。
基準②:短時間労働者の加入要件(いわゆる106万円の壁)
4分の3基準を満たさない短時間労働者でも、以下の条件をすべて満たす場合は社会保険への加入が必要です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)
- 2ヶ月を超える雇用見込みがある
- 学生でない
- 特定適用事業所(または任意特定適用事業所)に勤務している
特定適用事業所の拡大(2026年時点)
短時間労働者の社会保険加入が義務付けられる「特定適用事業所」の対象は、段階的に拡大されてきました。
- 2016年10月〜:従業員501人以上
- 2022年10月〜:従業員101人以上
- 2024年10月〜:従業員51人以上
2024年10月より従業員51人以上の企業にも適用が拡大されたことで、中小規模の会社でも対象になるケースが大幅に増えています。自社が特定適用事業所に該当するかどうかを確認しておくことが重要です。
「従業員数」の数え方に注意
特定適用事業所かどうかを判断する「従業員数」は、既に社会保険に加入している被保険者数(フルタイム労働者+4分の3基準を満たすパートなど)で判断します。短時間労働者自身は含みません。毎月の被保険者数の平均が基準を超えた場合に特定適用事業所となります。
130万円の壁との違い
「130万円の壁」は、被扶養者(配偶者や子など)として他の人の健康保険に加入している人が、自分で社会保険に入らなければならなくなる収入の目安です。これは「被扶養者の認定基準」であり、会社が直接判断するものではありません。
一方「106万円の壁」は、会社側(事業主)が法律に基づいて社会保険に加入させるかどうかの判断基準です。
| 区分 | 106万円(8.8万円/月)の壁 | 130万円の壁 |
|---|---|---|
| 誰が判断するか | 会社(事業主) | 配偶者等の健康保険組合 |
| 何の制度か | 短時間労働者の社会保険加入義務 | 被扶養者の認定基準 |
| 適用事業所 | 特定適用事業所のみ | 全事業所 |
社会保険加入時の手続き
資格取得の届出
加入要件を満たしたパートタイマーが社会保険に加入する際は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を資格取得日から5日以内に管轄の年金事務所へ提出します。電子申請(e-Gov)でも手続きが可能です。
給与計算への反映
社会保険に加入すると、翌月の給与から健康保険料・厚生年金保険料の控除が始まります(翌月控除の場合)。控除開始月を間違えないよう注意してください。また、雇用保険についてはパートタイマーでも週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば加入が必要です。
担当者が確認すべきチェックポイント
- 自社が特定適用事業所に該当するか(被保険者数51人以上かどうか)
- 短時間労働者の週所定労働時間・月額賃金を正確に把握しているか
- 加入要件を満たした段階で速やかに資格取得届を提出しているか
- 既存のパートタイマーで要件を満たしているのに未加入の人がいないか
- パートタイマーへの加入制度の説明・案内ができているか
まとめ
2024年10月から特定適用事業所の対象が51人以上に拡大されたことで、多くの中小企業でもパートタイマーの社会保険加入義務が生じる状況になっています。「うちは関係ない」と思っていた会社でも、要件を確認する必要があります。
加入漏れは後から指摘を受けると遡及して保険料を支払う必要が生じる場合があります。現在のパート・アルバイトの勤務状況を今一度確認し、適切な手続きを行いましょう。



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