この記事はこんな人におすすめ
- 締め日と支払日の違いがよくわからない
- 計算対象期間をどこからどこまでにすればいいか迷っている
- 月の途中入社・退社の場合の対応がわからない
- 支払日が土日祝日に当たったときの対応を知りたい
給与計算を担当し始めたとき、こんな経験はありませんか?
「締め日と支払日って、何が違うんだろう?」
「なんとなく処理しているけど、合っているか自信がない……」
実は、締め日と支払日の理解がズレていると、そもそもの計算対象期間を間違えてしまいます。全員分の給与計算をやり直すことになりかねない、意外と重大なポイントです。
この記事は、給与計算ソフトのサポート担当として6年間・数千件の問い合わせ対応をしてきた経験をもとに書いています。「締め日・支払日まわりで混乱している」という相談は、毎月のように受けていました。
基本の整理から、実務でよくあるケース別の対応まで、まとめて解説します。
目次
1. 締め日・支払日の基本を整理しよう
締め日と支払日は混同しやすいですが、別のものです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 締め日 | その月の給与計算の対象となる最終日 |
| 支払日 | 実際に給与が従業員の口座に振り込まれる日 |
たとえば「末日締め・翌月25日払い」の会社であれば、4月1日〜4月30日の勤怠をもとに計算した給与を、5月25日に支払います。
計算対象期間:4月1日 〜 4月30日(締め日:4月30日)
↓
給与計算・確認作業
↓
支払日:5月25日に振込
重要:「支払日が5月だから5月の勤怠を計算すればいい」は間違いです。支払日と計算対象期間は別物です。これを間違えると全員分の給与計算をやり直すことになります。
2. よくある締め日・支払日のパターン3つ
会社によって締め日・支払日の組み合わせはさまざまです。代表的な3パターンを紹介します。
パターン① 末日締め・翌月25日払い
最もよく見るパターンです。
| 内容 | |
|---|---|
| 計算対象期間 | 4月1日〜4月30日 |
| 支払日 | 5月25日 |
月末に締めて翌月25日に支払います。計算や確認の時間が十分に取れるのがメリットです。
パターン② 20日締め・当月末払い
| 内容 | |
|---|---|
| 計算対象期間 | 3月21日〜4月20日 |
| 支払日 | 4月30日 |
20日に締めてその月の末日に支払います。計算期間が月をまたぐため、「どこからどこまでが対象か」を間違えやすいパターンです。
パターン③ 15日締め・当月末払い
| 内容 | |
|---|---|
| 計算対象期間 | 3月16日〜4月15日 |
| 支払日 | 4月30日 |
15日に締めて月末に支払います。パターン②と同様に計算期間が月をまたぎます。
自社の締め日・支払日の確認方法
就業規則または賃金規程に記載があります。まだ確認していない方は必ず確認しておきましょう。
3. ケース別の対応まとめ
実務でよく発生するケースと対応方法をまとめます。
ケース① 月の途中で入社した場合
月の途中に入社した従業員の給与は、入社日から締め日までの日数で日割り計算するのが一般的です。
ただし日割り計算の方法は会社によって異なります。
| 計算方法 | 内容 |
|---|---|
| 暦日割り | 月の暦日数(28〜31日)で割る |
| 所定労働日数割り | その月の所定労働日数で割る |
どちらを採用しているかは、就業規則・賃金規程で確認が必要です。
例:月給20万円・4月16日入社(4月の所定労働日数20日)
- 暦日割り:200,000円 ÷ 30日 × 15日 = 100,000円
- 所定労働日数割り:200,000円 ÷ 20日 × 10日 = 100,000円 ※計算対象日数は会社のルールによって異なります
ケース② 月の途中で退社した場合
退職者の最終給与も日割り計算が必要です。入社時と同様に、就業規則の日割り計算方法を確認しましょう。
退職者対応で特に注意が必要なポイントは以下の3つです。
① 社会保険の資格喪失日の確認 退職日の翌日が資格喪失日になります。月末退職の場合は翌月1日が資格喪失日となるため、退職月の保険料が1か月分発生します。月末の1日前(例:4月29日)に退職した場合は、4月分の保険料は発生しません。
② 退職月の保険料控除の有無 社会保険料は資格喪失月の保険料は徴収しないのが原則です。ただし月末退職の場合は退職月も保険料が発生するため、最終給与から2か月分控除するケースがあります。
③ 有給休暇の残日数の処理 退職時に有給休暇が残っている場合、会社が買い取る義務はありませんが、退職日までに消化させるか、退職日を有給消化後に設定するケースが多いです。
ケース③ 支払日が土日祝日に当たった場合
支払日が銀行の休業日(土日・祝日)に当たった場合は、前倒しで支払うのが原則です。
例:25日払いの月に25日が土曜日の場合→24日(金曜日)に前倒し支払い
ただし会社の規程によって「翌営業日払い」としているケースもあります。自社のルールを確認しておきましょう。
給与計算ソフトを使っている場合は、振込データを前倒しで作成・送信する必要があります。銀行への振込依頼の締め切り時間にも注意が必要です。
ケース④ 給与の締め日が月によって変わる場合
基本的に締め日は固定ですが、「末日締め」の場合は月によって締め日の日付が変わります。
| 月 | 末日 |
|---|---|
| 2月 | 28日(うるう年は29日) |
| 4・6・9・11月 | 30日 |
| その他の月 | 31日 |
給与計算ソフトに計算期間を手動で設定する場合は、毎月正しい日付を入力しているか確認しましょう。
ケース⑤ 給与の締め日・支払日を変更する場合
会社の都合で締め日や支払日を変更する場合は、就業規則の変更手続きが必要です。また、変更によって従業員が不利益を受ける場合(支払いが遅くなるなど)は、従業員の同意が必要になるケースもあります。
変更の際は社労士や労働基準監督署に相談することをおすすめします。
4. 締め日・支払日に関するよくある質問
Q. 給与の支払いが遅れた場合、どうなりますか?
労働基準法では、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが義務付けられています(賃金支払いの5原則)。正当な理由なく支払いが遅れると、法令違反となります。遅延した日数分の遅延損害金が発生する場合もあります。
Q. 締め日・支払日は従業員ごとに変えられますか?
原則として、同じ就業規則が適用される従業員については締め日・支払日は統一する必要があります。個別に変えることは実務上も管理が煩雑になるため、推奨されません。
Q. アルバイト・パートの締め日は正社員と変えてもいいですか?
雇用形態によって締め日・支払日を分けること自体は違法ではありませんが、それぞれ就業規則(パート就業規則など)に明記しておく必要があります。
5. まとめ
この記事で学んだことを振り返ります。
✅ 締め日と支払日は別物:支払日が何月でも、計算対象期間は締め日で決まる
✅ 代表的なパターンは3つ:末日締め翌月払い・20日締め当月末払い・15日締め当月末払い
✅ 途中入退社は日割り計算:暦日割りか所定労働日数割りかは就業規則で確認
✅ 退職者は3つのポイントに注意:社会保険の資格喪失日・保険料控除の有無・有給残日数
✅ 支払日が土日祝の場合は前倒し:銀行への振込依頼の締め切り時間も確認する
給与計算の締め日・支払日まわりのミスは、「なんとなくわかった気でいた」ことが原因になるケースがほとんどです。自社のルールを就業規則でしっかり確認し、毎月の作業前に計算対象期間を意識的に確認する習慣をつけましょう。
本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。労働基準法・社会保険に関するルールは改正されることがありますので、最新情報は厚生労働省の公式サイトや社会保険労務士にご確認ください。
執筆者:給与計算ソフトのサポート担当として6年間・数千件の問い合わせ対応の経験をもとに執筆



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