賞与の手取りが少ない理由、ちゃんと説明できますか?

給与明細の見方


思ったより手取りが………少ない

「今月ボーナス出た!……え、思ったより全然少ない」

そんな経験、一度はありませんか?

額面を見て心が踊ったのに、実際の振込額を確認してがっかり。
「こんなに引かれるの?」と給与明細を二度見した人も多いはずです。

実はこれ、賞与の所得税の計算方法が、毎月の給与とまったく違うことが大きな原因なんです。

「税金の仕組みなんて難しそう…」と思った方も大丈夫。
この記事では、図を使いながらできるだけわかりやすく解説します。
読み終わるころには、あの「モヤモヤ」の正体がスッキリわかるはずです。


①給与 vs 賞与 — 所得税の計算方法はこんなに違う

毎月の給与の場合

毎月の給与にかかる所得税は、その月の「課税対象額(給与から社会保険料を引いた額)」をもとに、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて計算されます。

簡単にいうと、「今月いくらもらったか」でそのまま税額が決まるイメージです。

賞与の場合

ところが賞与は、まったく違うロジックで計算されます。

ポイントはたった一つ。賞与の所得税は、賞与をもらった月の「前月の手取り給与」をもとに税率が決まるのです。

具体的な計算手順はこうです。

① 前月の給与額 ー 社会保険料 = 基準額
② 基準額と扶養親族の人数を「算出率の表」に当てはめて → 税率を決定
③(賞与額 ー 社会保険料)× 税率 = 所得税額

(国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和7年分)」より)



なぜ「賞与額そのもの」じゃなくて「前月給与」が基準なの?

「なんで賞与の金額を使わないの?」と思いませんか?

これには理由があります。賞与の所得税はあくまでも仮の源泉徴収だからです。

所得税は本来、1年間の総収入に対して計算されます。でも支給のたびに毎回正確に計算するのは大変なので、「前月の給与を参考にして、だいたいこのくらいの税率をかけておこう」というやり方を取っているのです。

「だいたい」なので、年末に12月の年末調整で精算されます。払いすぎていれば還付、足りなければ追加徴収、という流れです。



②実例シミュレーション

実際に数字で見てみましょう。

【条件】

  • 前月の手取り給与(社会保険料控除後):30万円
  • 扶養親族:0人
  • 賞与の支給額:50万円(うち社会保険料控除後:約43万円と仮定)

① 基準額:30万円(前月給与から社保を引いた額)

② 「算出率の表」で税率を確認
扶養0人・前月給与30万円のケースでは、税率は 8.168%

③ 所得税額の計算
43万円 × 8.168% = 約35,000円

額面50万円のうち、所得税だけで約3.5万円が引かれます。
さらに社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)も引かれるため、手取りは37〜40万円前後になることが多いです。

一般的に、賞与の手取りは額面の80〜85%前後が目安とされています。
(保険料率や扶養の有無によって変わります)


③補足:実は賞与に「住民税」はかからない

ここでひとつ、意外と知られていない話をしておきます。

賞与の給与明細をよく見ると、住民税の欄が0円になっているはずです。

これは何かの間違いではありません。住民税は、賞与支給月には引かれない仕組みになっているのです。

なぜかというと、住民税は「前年の所得」に対して翌年に課税される税金だからです。毎月の給与から均等に12分割して天引きされますが、賞与はその対象外です。

⚠️ ただし、安心しすぎは禁物

賞与は「住民税がかからない=お得」というわけではありません。

賞与はあくまでも年収に含まれます。つまり、今年ボーナスをたくさんもらうと、翌年の住民税が上がります

「今年は住民税がラクだ」と思っていたら翌年にドーンと来た……というのはよくあるパターンなので、頭の片隅に置いておいてください。


④ よくある勘違い Q&A

Q. 賞与の手取りが少ないのは損しているから?

A. そうとは限りません。賞与の所得税は「仮の源泉徴収」なので、払いすぎていた場合は年末調整で戻ってきます。12月の給与や還付額を確認してみてください。

Q. 前月の給与が多いほど、賞与の税率も上がる?

A. そのとおりです。前月の給与が高いほど「算出率の表」で当てはまる税率も上がります。昇給した直後のボーナスは、税率も上がっていることがあります。

Q. 前月に給与がなかった場合(育休明けなど)はどうなる?

A. 前月の給与がない場合は、「算出率の表」ではなく「月額表」を使った別の計算方法が適用されます。会社の担当部署に確認するのがおすすめです。




⑤まとめ

今回の内容を整理すると、こうなります。

  • 賞与の所得税は「前月の手取り給与」をもとに税率が決まる(賞与の金額ではない)
  • これは仮の源泉徴収であり、年末調整で精算される
  • 賞与に住民税はかからないが、翌年の住民税には影響する

「賞与のたびに手取りが少ない…」というモヤモヤ、これで少しスッキリしてもらえたら嬉しいです。

仕組みを知るだけで、給与明細の見方が変わります。次のボーナス、ぜひ明細と照らし合わせてみてください。


※ 本記事は2025年度の情報をもとに作成しています。税率・保険料率は毎年改定される場合があります。詳細は国税庁ホームページまたは会社の担当部署にご確認ください。

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