【2026年版】給与計算で変わったこと まとめ|社会保険・所得税・雇用保険の改正ポイントを実務担当者向けに解説

法改正情報

2026年は、給与計算担当者にとって「変更の多い年」です。

社会保険料率の改定、子ども・子育て支援金の新設、雇用保険料率の引き下げ、そして所得税の大幅な控除拡充——これらが4月・5月に集中して実施されたため、「何から確認すればいいか分からない」という声が多く聞かれます。

この記事では、2026年に給与計算で変わったことを4つのテーマに絞って整理します。各テーマの詳細解説記事へのリンクも末尾にまとめていますので、気になる箇所から読み進めてください。

この記事でわかること

  • 社会保険料率の改定内容と「5月給与の注意点」
  • 雇用保険料率の引き下げ(いつから適用?)
  • 所得税の178万円の壁——月次源泉徴収はいつ変わる?
  • 扶養・年収の壁の所得要件変更と実務への影響

1.【社会保険】4月・5月に2つの変更が重なった

2026年度の社会保険で最も注意が必要なのは、変更が2段階に分かれている点です。

健康保険・介護保険料率の改定(3月分〜、4月給与から反映)

協会けんぽの保険料率が2026年3月分から改定されました。東京都を例にとると、健康保険料率は9.91%から9.63%へと引き下げられています。一方、介護保険料率は1.59%から1.62%へと引き上げられました。

健康保険組合に加入している場合は、組合ごとに異なる料率が適用されますので、自社の料額表を必ず確認してください。

なお、厚生年金保険料率は18.3%のまま変更ありません。「年金も上がった」という誤解が広まることがありますが、厚生年金は2017年に上限に達して以降、固定されています。

子ども・子育て支援金の新設(4月分〜、5月給与から反映)

2026年4月分から、新たに「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。給与からの控除が始まるのは5月給与からです。

料率は健康保険料率と同じ都道府県ごとの設定で、東京都の場合は労使折半で0.23%(労働者負担0.115%)となっています。

給与明細の控除欄に新しい項目が増えたことで、従業員から「これは何ですか?」という問い合わせが増えています。制度の説明については関連記事をご参照ください。

【実務のポイント】4月給与と5月給与で別々に設定変更が必要

反映月変更内容
4月給与健康保険・介護保険料率の改定
5月給与子ども・子育て支援金の控除開始 + 雇用保険料率の変更(後述)

4月給与で健保料率を変更し、5月給与で支援金と雇用保険の2点を追加変更する——この段階的な対応が必要です。給与計算ソフトの設定変更を1回で終わらせようとしてミスが発生するケースが見受けられますので、変更のタイミングに注意してください。


2.【雇用保険】2026年4月から料率が引き下げられた

令和8年度(2026年度)の雇用保険料率は、前年度の1.45%から0.1%引き下げられ、一般の事業で1.35%となりました。引き下げは2年連続です。

一般の事業の料率(2026年度)

負担者2025年度2026年度変更幅
労働者負担0.55%0.50%−0.05%
事業主負担0.90%0.85%−0.05%
合計1.45%1.35%−0.10%

月給30万円の従業員であれば、労働者負担は1,650円から1,500円へと月150円の減少となります。

適用タイミングの確認が重要

改定後の保険料率で計算が必要なのは、4月1日以降最初に到来する締日より支給される給与からです。

たとえば、3月21日〜4月20日締め・4月30日払いの場合は、4月20日に支払いが確定するため新料率で計算します。3月1日〜3月31日締め・4月20日払いの場合は、3月31日に確定しているため旧料率のままです。

締め日が4月1日より前か後かで判断する、という原則を押さえておくと混乱が防げます。


3.【所得税】2026年分から「178万円の壁」へ——ただし月次反映は2027年から

所得税についても2026年は大きな改正がありましたが、月次の源泉徴収にはまだ反映されていない点が実務上の最大の注意点です。

課税最低限の変遷を整理する

「年収の壁」は、ここ数年で急速に変化しています。

課税最低限
〜2024年103万円
2025年160万円
2026年〜178万円

2026年分の178万円は、基礎控除と給与所得控除の両方が引き上げられた結果です。具体的な計算式は「基礎控除104万円(本則62万円+特例42万円)+給与所得控除74万円(本則69万円+特例5万円)=178万円」となります。この特例部分は2026年・2027年の2年間の時限措置です。

月次源泉徴収への反映は2027年1月から

ここが最も誤解の多いポイントです。

178万円の壁は2026年分(令和8年分)の所得税から適用されます。ただし、月次の源泉徴収への反映は2027年(令和9年)1月以後の給与等からとなり、2026年中の変化は年末調整で精算されます。

つまり、2026年中の毎月の給与から引かれる所得税の額は基本的に従来のまま変わらず、2026年12月の年末調整で控除拡充分が一括精算される仕組みです。「手取りが増えるのはいつ?」と従業員に聞かれた場合は、「年末調整の還付で反映されます」と説明するとよいでしょう。

なお、改訂された源泉徴収税額表の適用は令和9年(2027年)1月以降となるため、給与計算ソフトの税額表が更新されても、それが月次に反映されるのは2027年1月以降という点は、担当者として明確に把握しておく必要があります。


4.【扶養・年収の壁】所得要件が58万円から62万円へ

所得税の控除拡充にともない、扶養に関する所得要件も変わりました。

扶養親族・配偶者の所得要件が引き上げ

扶養控除や配偶者控除の対象となる合計所得金額の要件が、58万円以下から62万円以下へ引き上げられました。給与収入に換算すると、136万円以下が新しいボーダーラインです。

特定扶養親族(19〜22歳)は2025年10月から先行して拡充済み

大学生の子どもを持つ親に関しては、社会保険の被扶養者認定基準がすでに2025年10月から150万円に引き上げられています。所得税の扶養控除に関しても「特定親族特別控除」が新設されており、給与収入150万円以下まで段階的に適用されます。

「130万円の壁」「106万円の壁」は別制度

注意が必要なのは、社会保険の扶養(130万円の壁)は今回の改正の対象外という点です。今回の変更はあくまで所得税上の扶養の話であり、社会保険の加入基準は別に定められています。

さらに、106万円の賃金要件(社保加入の月額88,000円要件)については2026年10月に撤廃が予定されています。これは本記事の範囲を超えますが、パートタイム労働者の多い職場では今後の動向に注意が必要です。

家族手当の支給要件を見直す必要があるケースも

社内規程で「扶養家族がいる場合に家族手当を支給する」という設計をしている場合、その判定基準が「所得税上の扶養」と連動しているなら、今回の改正に合わせて規程の見直しが必要になる可能性があります。人事部門と連携して確認しておくと安心です。


5.【チェックリスト】2026年5月時点で確認すべきこと

最後に、実務担当者向けのチェックリストをまとめます。

□ 4月給与の設定変更

  • 健康保険・介護保険料率を自都道府県の新料率に変更したか

□ 5月給与の設定変更(2点同時)

  • 子ども・子育て支援金の控除を追加したか
  • 雇用保険料率を新料率(労働者0.5%、事業主0.85%)に変更したか

□ 従業員への周知

  • 給与明細の新控除欄(支援金)について説明資料を用意したか
  • 扶養の所得要件変更について、該当する従業員へ案内したか

□ 社内規程の確認

  • 家族手当の支給要件を見直す必要がないか確認したか

□ 年末調整の準備(2026年12月まで余裕あり)

  • 178万円基準の年末調整対応は、給与計算ソフトのアップデートを待つ形で問題なし
  • 扶養控除等申告書の様式変更に注意(国税庁が公表予定)




まとめ

2026年の給与計算の主な変更点を振り返ります。

  • 社会保険:健保料率は4月給与から、子ども・子育て支援金は5月給与から——2段階の変更に注意
  • 雇用保険:2年連続の引き下げで、一般事業の労働者負担は0.5%へ。4月締め日以降の給与から適用
  • 所得税:2026年分から178万円の壁へ拡充。ただし月次の源泉徴収は2027年1月まで変わらず、年末調整で精算
  • 扶養:所得要件が62万円(給与収入136万円)に引き上げ。社会保険の壁とは別制度

給与計算は「変更を見落とさないこと」が何より大切です。特に今年は変更点が多いため、この記事を定期的に見返しながら対応を進めてください。


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