【給与計算】社会保険料の控除月を間違えていませんか?翌月控除・当月控除の基本と間違えやすいケース3選

給与計算実務

この記事はこんな人におすすめ

  • 社会保険料をいつの給与から控除すればいいかわからない
  • 翌月控除と当月控除の違いがよくわからない
  • 入社月・退職月の社会保険料の扱いに迷っている
  • 保険料が変わったとき、いつから反映すればいいか知りたい

給与計算を始めたばかりのころ、こんな疑問を持ったことはありませんか?

「4月分の社会保険料って、4月の給与から引くの?それとも5月?」

実はこの「控除月」の考え方、給与計算の現場でもっともよく混乱が起きるポイントのひとつです。給与計算ソフトのサポートをしていたとき、毎月のように同じ質問を受けていました。

この記事では、給与計算ソフトのサポート担当として6年間・数千件の問い合わせ対応をしてきた経験をもとに、社会保険料の控除月の基本的な考え方と間違えやすいケースをわかりやすく解説します。


目次

  1. そもそも社会保険料とは?
  2. 「翌月控除」が原則
  3. 「当月控除」を採用している会社もある
  4. 間違えやすいケース3選と対応方法
  5. 社会保険料の控除月に関するよくある質問
  6. まとめ

1. そもそも社会保険料とは?

給与から引かれる「社会保険料」には、主に以下のものがあります。

種類対象者負担
健康保険料全員会社と折半
厚生年金保険料全員会社と折半
介護保険料40歳以上会社と折半

これらは毎月の給与から一定額が控除され、会社と従業員が半分ずつ負担する仕組みになっています。

雇用保険料も給与から控除されますが、社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)とは控除のルールが異なるため、この記事では社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)に絞って解説します。


2. 「翌月控除」が原則

社会保険料には、翌月控除という基本ルールがあります。

つまり、4月分の社会保険料は、5月の給与から控除するのが原則です。

保険料の月分控除する給与の月
4月分5月の給与
5月分6月の給与
6月分7月の給与

なぜ翌月なのかというと、社会保険料は「翌月末までに納付する」というルールがあるためです。4月分の保険料は5月末までに納付するため、5月の給与から天引きして納付するのが自然な流れになっています。


3. 「当月控除」を採用している会社もある

「でも、うちの会社は4月の給与から4月分の保険料を引いている気がする……」

そう感じた方もいるかもしれません。実は、当月控除を採用している会社もあります。

当月控除とは、4月分の保険料を4月の給与から控除する方法です。法律上は翌月控除が原則ですが、当月控除も認められています。

方式4月分保険料の控除タイミング
翌月控除(原則)5月の給与から控除
当月控除4月の給与から控除

大切なのは、自分の会社がどちらの方式を採用しているかを確認することです。就業規則や賃金規程に記載がある場合もありますし、前任者や経理担当者に確認するのが確実です。


4. 間違えやすいケース3選と対応方法

6年間のサポート対応で特によく相談を受けた、間違えやすいケースを3つ解説します。

ケース① 入社月の社会保険料

入社月の社会保険料の扱いは、控除方式によって異なります。

翌月控除の場合

4月1日入社であれば、4月分の保険料は5月の給与から初めて控除します。入社月(4月)の給与からは社会保険料を控除しません。

4月入社 → 4月給与:社会保険料控除なし
         → 5月給与:4月分の社会保険料を初めて控除

当月控除の場合

4月1日入社であれば、4月の給与から4月分の保険料を控除します。ただし、給与の支払日によっては保険料額が確定していないケースもあるため、翌月に2か月分まとめて控除する会社もあります。自社のルールを確認しましょう。

よくある間違い:翌月控除の会社なのに、入社月の給与から社会保険料を控除してしまうケース。入社月の給与明細をよく確認しましょう。

ケース② 退職月の社会保険料

退職月の社会保険料は、退職日がいつかによって扱いが変わります。

月の途中で退職した場合(例:4月15日退職)

社会保険の資格喪失日は退職日の翌日(4月16日)になります。資格喪失月(4月)の保険料は発生しないため、3月分までの保険料を控除します。

4月15日退職 → 資格喪失日:4月16日
翌月控除の場合 → 最終給与(4月分)から3月分の保険料を控除
当月控除の場合 → 最終給与(4月分)から3月分の保険料を控除

月末に退職した場合(例:4月30日退職)

退職日が月末の場合、資格喪失日は翌月1日(5月1日)になります。この場合、4月分の保険料も発生します。

4月30日退職 → 資格喪失日:5月1日
翌月控除の場合 → 最終給与(4月分)から3月分+4月分の2か月分を控除
当月控除の場合 → 最終給与(4月分)から4月分を控除

ポイント:月末退職の場合は翌月控除の会社だと最終給与で2か月分の保険料が控除されます。退職者から「なぜ今月はこんなに引かれているの?」と問い合わせが来ることがよくあります。事前に説明しておくとトラブルを防げます。

ケース③ 保険料額が変わったとき

社会保険料の金額が変わるタイミングは主に2つあります。

① 定時決定(算定基礎届)による変更

毎年4月・5月・6月の報酬をもとに標準報酬月額が見直され、9月分の保険料から新しい金額が適用されます。

控除方式新保険料の適用タイミング
翌月控除10月の給与から新保険料を控除
当月控除9月の給与から新保険料を控除

② 随時改定(月額変更届)による変更

昇給や降給により報酬が大きく変わった場合、標準報酬月額が随時改定されます。改定された月分から新しい保険料が適用されます。

よくある間違い:定時決定で保険料が変わったのに、古い金額のまま控除し続けてしまうケース。毎年9月・10月は保険料額表の更新を忘れずに確認しましょう。


5. 社会保険料の控除月に関するよくある質問

Q. 翌月控除と当月控除、どちらが正しいですか?

どちらも法律上認められています。翌月控除が原則ですが、当月控除を採用している会社も多くあります。大切なのは、自社のルールを把握して一貫した処理をすることです。

Q. 給与計算ソフトを使っている場合、控除月の設定はどこで確認できますか?

多くの給与計算ソフトでは、初期設定または会社情報の設定画面に「社会保険料の控除方法」という項目があります。「翌月控除」か「当月控除」かを確認し、自社のルールと一致しているか確かめましょう。

Q. 産休・育休中の社会保険料はどうなりますか?

産前産後休業・育児休業中は、事業主が申し出ることで社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されます。免除期間中は従業員負担分も会社負担分も両方免除されます。ただし免除の申請手続きが必要です。


6. まとめ

この記事で学んだことを振り返ります。

翌月控除が原則:4月分の保険料は5月の給与から控除するのが基本

当月控除の会社もある:どちらの方式か必ず自社のルールを確認する

入社月は控除なし(翌月控除の場合):入社月の給与から社会保険料を引かないよう注意

退職月末は2か月分控除になる(翌月控除の場合):事前に退職者への説明を

定時決定後は保険料が変わる:毎年10月(翌月控除)または9月(当月控除)から新保険料を適用


社会保険料の控除月は、一度自社のルールを把握してしまえば迷うことはなくなります。まず「うちは翌月控除か当月控除か」を確認するところから始めましょう。


本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。社会保険料率・制度は改正されることがありますので、最新情報は日本年金機構・全国健康保険協会の公式サイトでご確認ください。

執筆者:給与計算ソフトのサポート担当として6年間・数千件の問い合わせ対応の経験をもとに執筆

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