「同じ基本給なのに、住民税の金額が違う…」
「自分の住民税、高い気がする」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
住民税が人によって金額が異なる理由を、わかりやすく解説します。
1. 住民税の金額を決める「3つの柱」
住民税の基本をまず押さえておきましょう。
- 住民税の計算は、前年の収入(所得)をもとに行う
- 適用される控除が複数ある
- 住んでいる自治体によって税率が異なる
これらの要素によって住民税の金額は決まります。そのため、同じ基本給や手当であっても住民税が異なる場合があります。
では次の章で、収入から控除されるものを一緒に確認しましょう。
2. 7大控除項目
住民税の計算をする前に控除される項目は、以下の7つです。
①基礎控除
すべての納税者が控除される項目です。控除額は合計所得によって変わります。
| 合計所得金額 | 基礎控除額(住民税) |
|---|---|
| 2,400万円以下 | 43万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 29万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 15万円 |
| 2,500万円超 | 控除なし |
②社会保険料控除
支払った社会保険料は全額控除されます。
③配偶者控除・扶養控除
配偶者・特別扶養親族(19歳以上23歳未満の子)と、それ以外の扶養親族とでは、基本的な考え方が異なります。
配偶者と特別扶養親族については、一定額を超えても控除額が段階的に変わる仕組みになっています。いわゆる「扶養の壁」を越えても、控除がまったくゼロになるわけではありません。
それ以外の扶養親族は、収入が一定額以下(基礎控除+給与所得控除の合計額以内)の場合に控除されます。
④生命保険料控除・地震保険料控除(加入状況によって変わる)
生命保険料や地震保険料を支払っている場合は、所定の計算式に当てはめて控除額を算出します。
◆ 生命保険料控除(住民税)
生命保険料控除は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類に分かれ、それぞれに控除限度額があります。合計の控除上限は7万円です。
【新契約(平成24年1月1日以降の契約)】
| 年間払込保険料額 | 控除額 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 払込保険料額の全額 |
| 12,001円~32,000円 | 払込保険料額 × 1/2 + 6,000円 |
| 32,001円~56,000円 | 払込保険料額 × 1/4 + 14,000円 |
| 56,001円以上 | 28,000円(上限) |
【旧契約(平成23年12月31日以前の契約)】
| 年間払込保険料額 | 控除額 |
|---|---|
| 15,000円以下 | 払込保険料額の全額 |
| 15,001円~40,000円 | 払込保険料額 × 1/2 + 7,500円 |
| 40,001円~70,000円 | 払込保険料額 × 1/4 + 17,500円 |
| 70,001円以上 | 35,000円(上限) |
◆ 地震保険料控除(住民税)
| 種別 | 年間払込保険料額 | 控除額 |
|---|---|---|
| 地震保険料 | 50,000円以下 | 払込保険料額 × 1/2 |
| 地震保険料 | 50,001円以上 | 25,000円(上限) |
| 旧長期損害保険料 | 5,000円以下 | 払込保険料額の全額 |
| 旧長期損害保険料 | 5,001円~15,000円 | 払込保険料額 × 1/2 + 2,500円 |
| 旧長期損害保険料 | 15,001円以上 | 10,000円(上限) |
| 両方に該当する場合 | — | 合計上限:25,000円 |
⑤ふるさと納税(利用した人・しない人で変わる)
応援したい自治体に寄付すると、寄付額から自己負担額の2,000円を差し引いた全額が、所得税と住民税から控除される制度です。加えて、寄付のお礼として各自治体から特産物などの「返礼品」を受け取れます。
控除の上限は、所得税が総所得金額等の40%、住民税が総所得金額等の30%です。
5か所までは「ワンストップ特例申請」を利用すれば確定申告は不要です。6か所以上に寄付した場合は、確定申告が必要となります。
⑥ひとり親控除
ひとり親控除の適用条件は以下のとおりです。
- 12月31日時点で、配偶者と死別・離婚している、未婚である、または配偶者の生死が明らかでないこと
- 事実上婚姻関係と同様の事情にある相手がいないこと
- 生計を同じくする子がいること(年齢制限なし)
- その子の所得が48万円以下であること
- 本人の合計所得が500万円以下であること
⑦障害者控除
障がい者に該当する場合も控除の対象となります。詳細な条件については、会社の給与計算担当者またはお住まいの自治体の住民税担当窓口にご確認ください。
3. 住民税の具体的なケース
いくつか具体的なケースを見てみましょう。
ケース① 昇給・降給があった
例:年収400万円→450万円に昇給(年間+50万円)した場合、翌年度の住民税(所得割)はおおよそ5万円前後増えます(概算。実際は給与所得控除の段差で前後します)。
降給の場合は翌年度に減少します。「給料が下がった年の翌年に住民税が重く感じる」という現象が起こるのはこのためです。
【簡易シミュレーション】昇給額と住民税増加額の目安
(昇給額 × 10% の概算。実際は給与所得控除等により多少前後します)
ケース② 副業を始めた(またはやめた)
例:本業年収400万円+副業所得(年間)20万円の場合、所得税は副業所得20万円以下なら確定申告不要なケースもありますが、住民税は20万円以下でも住民税申告が原則必要です。
副業所得20万円×10%=約2万円、翌年度の住民税が増加します。副業をやめた場合は翌年度にその分減少します。
【フローチャート】副業がある場合の申告要否
所得税の「20万円ルール」と住民税のルールは別物!
ケース③ 結婚・出産・扶養家族が増えた
例:配偶者(無収入)が増えた場合、住民税の配偶者控除は33万円となり、33万円×10%=約3.3万円、翌年度の住民税が減少します。
なお、子どもが生まれて16歳未満の扶養親族が増えても、住民税の扶養控除は16歳未満を対象としていません(児童手当等で対応)。この点も覚えておくと安心です。
ケース④ 育休・産休で収入が一時的に減った
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、産休・育休で今年の収入が減っても、今年の住民税は前年の高い所得に基づいたまま請求されます。
例:産休前年の所得で年間住民税12万円だった人は、産休中も12万円の支払いが続きます。なお、育休中は申請により徴収猶予や減免を受けられる自治体もあります。翌年度(育休明けの年)になってはじめて、減った所得を反映した住民税に下がります。
【時系列図】収入と住民税のタイムラグ(産休・育休の例)
住民税は「前年の収入」をもとに計算されるため、収入の変化に1年遅れて反映されます
ケース⑤ ふるさと納税をした・しなかった
例:30,000円を寄付(ワンストップ特例または確定申告を利用)した場合、自己負担2,000円を除いた28,000円が所得税の還付+翌年度住民税からの控除で戻ってきます。
住民税からは寄付額の大部分(基本分+特例分)が控除され、翌年度の住民税が約25,000〜28,000円程度減ります(年収・家族構成によって上限が変わります)。ふるさと納税をしなかった場合はこの控除がないため、その分住民税は高いままとなります。
ケース⑥ 年末調整の申告内容が変わった(生命保険の加入など)
例:新たに生命保険に加入し、年間保険料8万円を申告した場合、住民税の生命保険料控除には上限があり、一般生命保険料は最大2.8万円の控除となります。2.8万円×10%=約2,800円、翌年度の住民税が減少します(所得税の減税効果に比べると小さめです)。
iDeCoや小規模企業共済等掛金控除は全額控除のため、住民税への影響はより大きくなります。
4. 「住民税が同僚より高い・低い」は恥でも自慢でもない——金額が示すもの
住民税の額は、扶養家族の人数、ふるさと納税の利用の有無、副業の有無など、人によって条件がまったく異なる中で決まります。同じ年収でも、独身か子育て中かで数万円単位の差が生まれるのは珍しくありません。
つまり住民税の高低は、その人の能力や頑張りを測る指標ではなく、「今その人がどんな生活のフェーズにいるか」を映す数字にすぎません。
同僚の住民税が高いのは家族を支えているからかもしれず、低いのは控除を上手に活用しているだけかもしれない。比べて優劣をつける対象ではなく、自分の状況を理解するための数字として向き合うことが大切です。
5. 「自分の住民税、正しい?」と思ったときの確認方法
ここまで住民税の計算に関わる情報をお伝えしてきました。実際に計算が合っているか確認する方法もあります。源泉徴収票と特別徴収税額通知書を見比べることで、以下の項目をチェックできます。
- 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」「所得控除の合計額」と、特別徴収税額通知書の「総所得」「所得控除合計」がおおむね一致しているか
- 扶養親族の数(本人を除く)が一致しているか
- 配偶者(特別)控除の有無・金額は正しいか
- 社会保険料控除の金額は合っているか
- 生命保険料控除・地震保険料控除の金額は合っているか
- 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)が漏れていないか(ここが抜けると差額が大きくなりやすい)
- 障害者控除・ひとり親控除の適用は正しいか
- 住民税通知書の「寄附金税額控除」欄に、寄付額(自己負担2,000円除く)に応じた金額が反映されているか
気になる点があれば、お住まいの自治体の税務担当窓口に一度確認してみましょう。
まとめ
日本では、納税者それぞれの状況に応じてさまざまな控除が用意されています。そのため、総支給額が同じであっても住民税が異なることは十分にあります。
6月に配付される特別徴収税額通知書を一度じっくり見てみると、意外な発見があるかもしれません。正しく計算されているかどうか、ぜひ確認してみてください。



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