「年収の壁」についてはいろいろな情報がありますが、結局のところ「自分の場合、年収がいくらのときに手取りがいくらになるのか」が一番知りたいところではないでしょうか。
この記事では、パートで働く配偶者を想定し、年収100万円から200万円までの7パターンで、実際の手取り額を計算してシミュレーションします。制度そのものの仕組みについては「年収の壁はいくら?103万円はもう古い」で詳しく解説していますので、まずは数字だけを知りたい方はこのまま読み進めてください。
シミュレーションの前提条件
今回の計算では、以下の条件を使用しています。
| 項目 | 前提条件 |
|---|---|
| 健康保険料率 | 9.85%(従業員負担4.925%、協会けんぽ東京都・令和8年度) |
| 厚生年金保険料率 | 18.3%(従業員負担9.15%) |
| 雇用保険料率 | 0.5%(一般の事業) |
| 住民税 | 年収110万円を超えた分から発生(翌年度に反映、モデル値) |
| 所得税 | 年収160万円までは非課税、超えた分に約5%で課税(モデル値) |
| 扶養親族 | 本人に扶養親族なし(甲欄) |
ここで重要なのが、106万円の壁は「勤務先の従業員規模」によって適用されるかどうかが変わるという点です。そのため、この記事では2つのパターンに分けて計算します。
パターンA:勤務先が社会保険の加入対象規模の場合(106万円の壁が適用される)
| 年収 | 社会保険料(年間) | 住民税(翌年度) | 所得税 | 手取り目安 | 前段階からの増減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 100.0万円 | ― |
| 106万円 | 約14.9万円 | 0円 | 0円 | 約91.1万円 | ▲8.9万円 |
| 120万円 | 約16.9万円 | 約1.5万円 | 0円 | 約101.6万円 | +10.5万円 |
| 130万円 | 約18.3万円 | 約2.5万円 | 0円 | 約109.2万円 | +7.6万円 |
| 150万円 | 約21.1万円 | 約4.5万円 | 0円 | 約124.4万円 | +15.2万円 |
| 178万円 | 約25.1万円 | 約7.3万円 | 約0.9万円 | 約144.7万円 | +20.3万円 |
| 200万円 | 約28.2万円 | 約9.5万円 | 約2.0万円 | 約160.3万円 | +15.6万円 |
100万円から106万円に増えただけなのに、手取りは逆に約9万円減っています。これが「106万円の壁」で起きる手取りの逆転現象です。ただし、社会保険に加入することで将来の厚生年金が増えるというメリットもあります。
パターンB:勤務先が社会保険の加入対象外規模の場合(130万円の壁のみ適用される)
| 年収 | 保険料(年間) | 住民税(翌年度) | 所得税 | 手取り目安 | 前段階からの増減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 100.0万円 | ― |
| 106万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 106.0万円 | +6.0万円 |
| 120万円 | 0円 | 約1.5万円 | 0円 | 約118.5万円 | +12.5万円 |
| 130万円 | 約20万円(国保・国民年金の概算) | 約2.5万円 | 0円 | 約107.5万円 | ▲11.0万円 |
| 150万円 | 約22万円 | 約4.5万円 | 0円 | 約123.5万円 | +16.0万円 |
| 178万円 | 約25万円 | 約7.3万円 | 約0.9万円 | 約144.8万円 | +21.3万円 |
| 200万円 | 約28万円 | 約9.5万円 | 約2.0万円 | 約160.5万円 | +15.7万円 |
このパターンでは106万円を超えても手取りは減らず、130万円で初めて逆転現象が起きます。ただし130万円を超えると、配偶者の扶養から外れて自分で国民健康保険・国民年金に加入する必要があり、保険料は自治体や世帯状況によって差があります(ここでは概算値を使用)。
AとBを比較してわかること
同じ年収でも、勤務先の従業員規模によって「壁」が来るタイミングがまったく違うことがわかります。パターンAの会社に勤めている場合は106万円、パターンBの会社に勤めている場合は130万円が最初の分岐点です。まずはご自身の勤務先が社会保険の加入対象規模かどうかを確認することが、働き方を決める第一歩になります。なお、178万円・200万円まで到達すると、どちらのパターンでも手取りの差はほとんどなくなります。
配偶者(世帯主)側の税金への影響
パート収入が123万円を超えると、配偶者控除の対象から外れ、世帯主側の税負担がわずかに増え始めます。ただし配偶者特別控除により、178万円までは段階的に控除が受けられるため、急に大きく増えるわけではありません。詳しい控除額の計算方法は「配偶者控除・配偶者特別控除とは?」で解説しています。
まとめ
106万円・130万円は、超えた瞬間に手取りが一時的に下がる分岐点になります。ただし、いずれの壁を超えても、178万円前後まで働けば手取りは壁を超える前の水準を上回ります。「少し働いて壁の手前で止める」か「思い切って壁を超えて働く」か、ご自身やご家族の働き方の希望に合わせて判断してみてください。
※本記事の数値はモデル計算であり、実際の保険料率・税額は加入している健康保険組合や自治体、個々の状況によって異なります。正確な金額は年末調整や確定申告の際に確認してください。


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