【令和9年対応】給与明細の所得税の計算方法と税額表の見方

令和9年対応 給与明細の所得税の計算方法と税額表の見方。令和9年1月支払分から源泉徴収税額表が新しくなります 給与明細の見方

給与明細を受け取って、「所得税」の欄で手が止まったことはありませんか。
「この金額、どうやって決まっているんだろう」「先月と少し違うけど、合っている?」……。
サポート窓口にいたころも、「明細の所得税が合っているか確かめたい」というご相談は、担当者の方からも従業員の方からも本当に多くいただきました。

しかも令和9年(2027年)1月からは、毎月の所得税を決める「税額表」そのものが新しくなります。ニュースで「防衛特別所得税」という言葉を見て、不安になった方もいるかもしれません。

仕組みがわからないのは、あなたの勉強不足ではありません。毎年少しずつ変わる制度だから難しいのです。

この記事では、次のことがわかります。

  • 給与明細の所得税が決まる3ステップと、税額表の見方(令和8年(2026年)分の計算例つき)
  • 令和9年1月から変わること・変わらないこと
  • 令和8年分は12月の年末調整で精算されるしくみ

毎月の所得税は「仮払い」

毎月の給与から差し引かれている所得税は、正式には「源泉所得税」といいます。源泉徴収とは、給与を支払うときに、会社が所得税をあらかじめ差し引いて国に納める仕組みのことです。

毎月の金額は、1年間の所得税をざっくり見積もり、それを月ごとに前払いしているイメージです。そして、その年の最後の給与を支払うとき(多くの会社では12月)に「年末調整」を行います。年末調整とは、1年間の給与から天引きした所得税を、正しい金額に精算する手続きです。

  • 前払いが多すぎた場合 → 差額が還付(返金)されます
  • 前払いが少なかった場合 → 差額が追加で徴収されます

毎月の所得税は「正解」ではなく、12月に答え合わせをする「見込み額」です。

だからこそ、毎月の段階で大切なのは「正しい年分の税額表を、正しい手順で引けているか」です。

源泉徴収税額表とは?

毎月の源泉所得税は、国税庁が公表している「給与所得の源泉徴収税額表」で求めます。税額表は給与の支払い方によって種類が分かれていて、月給制なら「月額表」を使います(日払いなどは日額表)。

月額表には、2つの欄があります。

  • 甲欄:「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除等申告書)を勤務先に提出している人
  • 乙欄:扶養控除等申告書を提出していない人(副業先で受け取る給与など)。甲欄より税額が高くなります

会社員や、メインの勤務先で働くパートの方は、ほとんどが甲欄です。

もうひとつ大切なのが、税額表は「年分」ごとに発行されることです。令和8年中に支払う給与は「令和8年分」、令和9年中に支払う給与は「令和9年分」の税額表を使います。

税額表を引く前に、まず「何年分の表か」を確かめる。これだけで防げるミスがあります。

所得税の計算手順(3ステップ)

ステップ1:社会保険料を差し引く

所得税は、総支給額ではなく「社会保険料等を差し引いた後の金額」で計算します。

例えば、月の総支給額が30万円、社会保険料の合計が4万円なら、税額表で使う金額は26万円です。

ステップ2:扶養親族等の数を確認する

扶養控除等申告書に書かれた「扶養親族等」の数を数えます。扶養親族等とは、税額表のうえでは「源泉控除対象配偶者」と「源泉控除対象親族」のことです。人数が多いほど、税額は少なくなります。

本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当てはまる場合は、それぞれ1人を加えて数えます。同一生計配偶者や扶養親族に障害者(同居特別障害者を含む)がいる場合も、1人ずつ加えます。

ステップ3:税額表で金額を読み取る

ステップ1の金額で「行」を、ステップ2の人数で「列」を決め、甲欄の交わるところの金額を読み取ります。これがその月の源泉所得税です。

計算例1:令和8年分の月額表で計算する場合

前提:令和8年中に支払う月給、総支給額300,000円、社会保険料の合計40,000円(仮の金額)、扶養控除等申告書を提出済み、扶養親族等の数1人

項目金額計算方法
総支給額300,000円前提
社会保険料の合計40,000円前提(仮の金額)
社会保険料等控除後の給与260,000円300,000円-40,000円
税額表の行260,000円以上263,000円未満令和8年分 月額表
源泉所得税(甲欄・1人)4,920円行と「1人」の列が交わる金額

月額表は、この金額帯では3,000円刻みで行が分かれています。「26万円だから260,000円から265,000円の行」と大づかみに読むと、1行ずれることがあるので注意してください。

税額表は「だいたい」で引くとずれます。行の「以上・未満」を指でなぞって確かめるのが一番確実です。

令和9年1月から何が変わる?

1. 「令和9年分」の税額表に切り替わる

令和8年度の税制改正で、基礎控除の引上げと給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)が行われました。これにあわせて、令和9年分以後の源泉徴収税額表が改正されています。

計算例1と同じ前提を、令和9年分の月額表に当てはめると次のとおりです。

計算例2:同じ月給を令和9年中に支払う場合

項目令和8年分令和9年分差
社会保険料等控除後の給与260,000円260,000円―
税額表の行260,000円以上263,000円未満260,000円以上263,000円未満―
甲欄・扶養親族等1人4,920円4,750円-170円
甲欄・扶養親族等0人6,530円6,370円-160円
乙欄39,600円39,300円-300円

計算例3:社会保険料等控除後の給与が200,000円・扶養親族等0人の場合

項目令和8年分令和9年分差
税額表の行199,000円以上201,000円未満199,000円以上201,000円未満―
甲欄・0人4,340円4,170円-170円

社会保険料などが同じなら、令和9年1月の給与から、明細の所得税が少し下がる人が多くなります。下がる金額は給与の額や扶養親族等の数で変わるので、必ずご自身の行・列で確認してください。

2. 防衛特別所得税ができ、復興特別所得税は2.1%→1.1%に

令和9年1月1日以後に生ずる所得から、所得税額の1%の「防衛特別所得税」が加わります。同時に、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に下がります(課税期間は令和29年12月31日まで延長)。

区分令和8年分まで令和9年分から
復興特別所得税所得税額の2.1%所得税額の1.1%
防衛特別所得税―所得税額の1%
上乗せの合計2.1%2.1%(変わらない)

国税庁は、合計の率(2.1%)が変わらないため、改正前後で源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないとしています。

給与の場合、令和9年分の税額表の金額には、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の合計額がはじめから含まれています。税額表を正しい年分に切り替えることが、いちばん大切な対応です。

担当者が1%を別に計算して足す必要はありません。

3. 給与明細・源泉徴収票・納付書はどうなる?

  • 給与明細:税額表の金額が合計額なので、明細の「所得税」欄にもこの合計額が入ります。項目名は会社や給与ソフトによって異なります
  • 源泉徴収票:「源泉徴収税額」欄には、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の合計額を記載します
  • 納付書(所得税徴収高計算書):合計額を1枚で納付します。手元にある「源泉所得税及び復興特別所得税」と印字された納付書も、表記を直さずにそのまま使ってよいと国税庁が案内しています
  • 年末調整:令和9年分も、年調所得税額×102.1%(100円未満切捨て)で計算します。率は令和8年分と同じです

4. 切り替えの基準は「支払日」|12月締め・1月払いに注意

どちらの税額表を使うかは、働いた月ではなく給与の支払日(支給日)で決まります。

給与支給日使う税額表
11月分(11月締め)令和8年12月25日(金)令和8年分
12月分(12月締め)令和9年1月25日(月)令和9年分

12月に働いた分でも、支給日が令和9年1月なら令和9年分の税額表を使います。また、この給与は令和9年分の収入になるため、令和8年分の年末調整には含めません。

「何月分の給与か」ではなく「いつ払う給与か」。切り替えはこれだけ押さえれば大丈夫です。

令和8年分は12月の年末調整で精算されます

令和8年11月までの源泉徴収事務には、変更はありません。令和8年中は、改正前の基礎控除をもとにした「令和8年分」の税額表で毎月の所得税を差し引きます。

そのうえで、令和8年12月に行う年末調整で、引き上げ後の基礎控除などを使って1年分の税額を計算し、毎月の天引き額との差を精算します。例えば、基礎控除は合計所得金額132万円以下なら令和8年分104万円(改正前95万円)、489万円超655万円以下なら67万円(改正前63万円)などに引き上げられています。毎月は改正前の基準で差し引いているので、12月の精算で差額が出やすい年です。

また、扶養親族などの所得要件の改正(例:扶養親族の合計所得金額 58万円以下→62万円以下)は、令和8年12月1日以後に支払う給与から適用されます。新たに条件を満たす家族がいる場合は、扶養控除等申告書の提出(異動の申告)が必要です。

年末調整で回収する「基礎控除申告書」も令和8年分は記入する控除額が変わっています。書き方は「【令和8年分】基礎控除申告書の書き方|改正点と記入例」(https://www.chilllifelog.com/kiso-kojo-shinkokusho-kakikata-2026/)で解説しています。

なお、令和8年分の年末調整で出た還付(超過額)を令和9年1月の給与の源泉所得税から差し引く場合も、納付書の「年末調整による超過税額」欄に記載すればよいと国税庁が案内しています。

毎月の天引きは改正前の基準でも、1年分の差額は12月の年末調整でまとめて精算されます。

賞与の所得税計算は別ルール

賞与(ボーナス)の源泉所得税は、月額表ではなく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。

  1. 前月の「社会保険料等控除後の給与」と扶養親族等の数から、税率(%)を求める
  2. 賞与から社会保険料を差し引いた金額に、その税率をかける

前月に給与の支払いがない場合(前月の給与が社会保険料等以下の場合を含む)や、社会保険料等を差し引いた後の賞与の額が、前月の社会保険料等控除後の給与の10倍を超える場合は、月額表を使う特別な計算になります。賞与の算出率の表も年分ごとに公表されるため、令和9年に支払う賞与は令和9年分の表を使います。

賞与の所得税は、賞与の額だけでなく「前月の給与」から決まります。

所得税が変わる・合わない3つの原因

原因1:扶養家族が増減したとき

子どもが生まれた、配偶者が働き始めた、などで扶養親族等の数が変わったときは、扶養控除等申告書を出し直して(異動の申告)会社に伝えます。申告後の給与から、使う列が変わります。

よくあるのは、家族の状況は変わったのに申告が出ておらず、税額表の列が古いままになっているケースです。

原因2:給与が大きく増減したとき

昇給や降給、休職などで給与が変わると、税額表の行が変わるため所得税も変わります。手取りが思ったほど増えないときは、社会保険料と所得税の両方が増えていることがあります。社会保険料を差し引く前の金額で行を引いてしまうのも、窓口でよく見たつまずきです。

原因3:年が変わって税額表が切り替わったとき

令和9年1月のように税額表が改正された年は、給与も家族も変わっていないのに所得税が変わります。逆に、給与ソフトの税額表が更新されておらず、前年の表のまま計算しているケースもあります。1月の最初の給与では、明細の所得税を税額表の実物と1人分だけでも照らし合わせてみてください。

明細の数字が変わったときは、「給与・家族・年分」の3つのどれが変わったかを見れば、ほとんど説明がつきます。

今日からできること

  1. 今日:自分(または従業員1人分)の給与明細で、「社会保険料等控除後の給与」と「扶養親族等の数」を確認し、令和8年分の月額表で所得税を引いてみる
  2. 今週:国税庁の「令和9年分 源泉徴収税額表」のページをブックマークし、給与ソフトの令和9年分対応(税額表の更新時期)を確認する
  3. 令和9年1月の最初の給与まで:12月締め・1月払いの給与を令和9年分の表で計算する準備をし、12月の年末調整に向けて扶養控除等申告書・基礎控除申告書等を回収する

完璧に理解するより、まず1人分を自分の手で引いてみる。それがいちばんの近道です。

まとめ

  • 毎月の所得税は、社会保険料等控除後の給与と扶養親族等の数で、その年分の税額表から決まります
  • 令和9年1月以後に支払う給与から「令和9年分」の税額表に切り替わります。防衛特別所得税(1%)が加わる一方、復興特別所得税が1.1%に下がるため、上乗せの合計2.1%は変わりません
  • 令和8年中に支払う給与は、12月分も含めて令和8年分(改正前の基礎控除を前提とした)税額表のまま。12月の年末調整で、引き上げ後の基礎控除などを使って精算します

関連記事:


参考:

※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに、一般的な内容を解説したものです。
個別のケースについては、税務署・税理士・年金事務所・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

たかたん

この記事を書いた人

【運営者プロフィール】

▶ 2018年〜 介護系ソフトの勤怠・給与計算サポート業務
▶ 給与計算の資格を独学で取得
▶ 2022年7月〜2025年5月 給与奉行・法定調書奉行のコールセンター勤務
▶ 現在 独学で最新情報をアップデートしながら情報発信中

現場で数多くの「困った」に向き合ってきた経験をもとに、
わかりやすく・正確な情報をお届けします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました