年の途中で退職・転職した年末調整はどうなる?【会社員向け】

給与計算実務

「転職したら年末調整ってどこでやるの?」

「前の会社と今の会社、両方で年末調整されるの?」

転職した年の年末調整は、初めてだとルールが分かりにくいですよね。

前回の記事では、前職の源泉徴収票が届く時期や、届かないときの対処法について解説しました。

今回は一歩進んで、転職した年の年末調整そのものの仕組みを、パターン別に分かりやすく解説します。

年末調整の基本をおさえておこう

年末調整とは、給与から天引きされた所得税と、本来納めるべき所得税との差額を精算する手続きのことです。

毎月の給与から天引きされる所得税は、あくまで年間の見積もり額にもとづく概算です。年末調整によって、実際の年収や扶養状況にもとづいた正しい税額に精算され、払いすぎていた分は還付、不足していた分は追加徴収という形で調整されます。

通常は、その年の12月末時点で在籍している会社が年末調整を行います。

ですので、年の途中で転職すると「どの会社が年末調整を行うか」が変わってきます。

この仕組みを理解しておくと、この後説明するパターン別の対応もスムーズに理解できると思います。

転職した年の年末調整、あなたはどのパターン?

転職した年の年末調整は、大きく3つのパターンに分かれます。ご自身がどれに当てはまるか確認してみてください。

パターンA|年内に転職先へ入社した場合(最も多いケース)

年内に転職先へ入社した場合は、転職先の会社が前職分の収入も含めてまとめて年末調整を行ってくれます。

やることは、前職からもらった源泉徴収票を転職先に提出するだけです。

基本的に自分で確定申告をする必要はありません。

ポイントは、源泉徴収票の提出期限を守ることです。多くの会社では11月から12月上旬ごろに提出を求められます。

また、年内に前職より前にもう一社勤めていた場合は、その分の源泉徴収票もあわせて転職先に提出する必要があります。提出漏れがあると年末調整が正しく行われないので注意しましょう。

前職の源泉徴収票がなかなか届かない場合の対処法は、前回の記事「転職したら源泉徴収票はいつ届く?もらえない場合の対処法」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

パターンB|年内に再就職せず、年末時点で無職の場合

年内に転職先が決まらず、12月31日時点で無職の場合は、年末調整をしてくれる会社がありません。

この場合は、翌年に自分で確定申告を行う必要があります。

退職後に国民健康保険料や国民年金を自分で支払っていた場合は、その金額を社会保険料控除として申告できるため、確定申告をすると税金が戻ってくることも多いです。

確定申告というと難しそうに感じるかもしれませんが、還付を受けられるケースが多いので、面倒がらずに手続きすることをおすすめします。

確定申告の具体的な期間や、スマホ・マイナンバーカードを使った申告方法については、前回の記事で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。

パターンC|年内に転職したが、源泉徴収票を提出しなかった場合

転職先が決まっていても、前職の源泉徴収票を提出しなかった場合は、前職分の収入が年末調整に反映されません。

その結果、年末調整が不完全な状態になってしまいます。

この場合も、パターンBと同様に翌年自分で確定申告をする必要があります。

確定申告を忘れてしまうと、本来納めるべき税金が不足したままになり、後から追加で納税が発生する可能性があるので注意しましょう。

「提出するのを忘れていた」「前職の源泉徴収票がまだ手元になかった」など、意図せず未提出のまま年末調整の締め切りを迎えてしまうケースも少なくありません。心当たりのある方は、早めに提出できないか転職先に相談してみましょう。

パターン年末調整確定申告ポイント
パターンA転職先でまとめて実施原則不要前職の源泉徴収票を提出するだけでOK
パターンB実施されない(無職のため)必要社会保険料控除等で還付されることが多い
パターンC実施されるが不完全必要追加納税の可能性があるため注意

源泉徴収票を転職先に提出する方法

提出先は、転職先の経理担当者や総務担当者になるのが一般的です。

提出方法は、原本を手渡しするか、郵送で提出するのが基本です。コピーでは受け付けてもらえないケースがほとんどなので注意してください。

提出のタイミングは会社によって異なりますが、多くの場合11月から12月上旬ごろに案内があります。詳しい時期の目安については、前回の記事で解説していますのでそちらをご覧ください。

なお、源泉徴収票を紛失してしまった、あるいは前職からまだ届いていないという場合は、無理に自己判断せず、早めに転職先の担当者に相談しておくと安心です。

よくある疑問Q&A

Q. 前職の年収は転職先にバレますか?

A. 源泉徴収票に記載されているため、書類上は分かってしまいます。ただし、その情報を扱うのは経理や総務の担当者に限られるため、通常は周囲の同僚などに知られることはありません。

Q. 源泉徴収票を紛失してしまった場合は?

A. 前職の会社に連絡すれば再発行してもらえます。前職への連絡方法や、対応してもらえない場合の相談先については、前回の記事で詳しく解説しています。

Q. 転職を複数回している場合はどうすればいいですか?

A. その年に在籍したすべての会社の源泉徴収票を、最後に入社した会社にまとめて提出すればOKです。

Q. 前職の源泉徴収票が届く前に、転職先の年末調整の締め切りが来てしまったら?

A. 締め切りに間に合わない場合は、その旨を早めに転職先の担当者へ伝えておきましょう。結果的に年末調整に間に合わなければ、パターンCと同様に自分で確定申告することになります。

まとめ

年内に転職先が決まっていれば、転職先の会社が前職分も含めて年末調整をしてくれます。

やるべきことは、前職の源泉徴収票を転職先に提出するだけなので、難しく考える必要はありません。

一方、年末時点で無職だったり、源泉徴収票を提出できなかったりした場合は、自分で確定申告をする必要があります。

確定申告の具体的なやり方や、源泉徴収票が届かないときの対処法については、前回の記事「転職したら源泉徴収票はいつ届く?もらえない場合の対処法」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

また、「転職先に源泉徴収票を出したくない」という方に向けた記事もご用意していますので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。

転職先に源泉徴収票を出したくない!提出しないとどうなる?

この記事を書いた人

【運営者プロフィール】

▶ 2018年〜 介護系ソフトの勤怠・給与計算サポート業務
▶ 給与計算の資格を独学で取得
▶ 2022年7月〜2025年5月 給与奉行・法定調書奉行のコールセンター勤務
▶ 現在 独学で最新情報をアップデートしながら情報発信中

現場で数多くの「困った」に向き合ってきた経験をもとに、
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