年末調整で扶養が増える?令和8年分の所得要件改正

年末調整で扶養が増える?令和8年分・所得要件改正 年末調整

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10月に入り、そろそろ年末調整の書類を配る準備を始めた方も多いのではないでしょうか。

今年は国税庁の「年末調整がよくわかるページ」に、「本年の年末調整においては、基礎控除の引上げ等にご注意ください!」と大きく書かれています。基礎控除や給与所得控除の改正は、ニュースでもよく取り上げられました。

ところが、同じページに並ぶ改正点の中に、担当者として見落とせないものがあります。それが「扶養親族等の所得要件の改正」です。

「去年は扶養に入れなかった家族が、今年は入れるかもしれない」。そんなケースが、今年の年末調整では少なくありません。

改正の年にいちばん困るのは、「何が変わったか」より「誰に何を確認すればいいか」がわからないことです。

この記事では、次のことがわかります。

  • 令和8年分で、扶養に入れる所得の基準がどう変わったか
  • 去年は対象外だった家族が対象になる具体的なケース
  • 担当者が10〜11月のうちにやっておきたいこと

本当の問題は「申告書が去年の基準のまま出されている」こと

令和8年分の扶養控除等(異動)申告書は、多くの会社で年初(1月の最初の給与の前)に回収しています。従業員がその申告書を書いたのは、改正前の基準で考えていた時期です。

つまり、「家族の収入が123万円を超えそうだから、扶養には書かなかった」という申告書が、そのまま会社の手元に残っている可能性があるということです。

国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」では、この点について次のように説明しています。

  • 所得要件の改正は、令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用される
  • 改正によって新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について控除を受けるには、扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要

会社が何もしなければ、本来受けられる控除が受けられないまま年末調整が終わってしまいます。

税額の計算は給与計算ソフトが新しい基準でやってくれます。でも、申告書に書かれていない家族の分まで、ソフトが見つけてくれることはありません。サポートの現場でも、制度改正の年は「ソフトは最新版なのに控除が反映されない」というご相談が増えがちです。原因をたどると、入力のもとになる申告書に、その家族が書かれていないケースがほとんどです。

扶養の見落としが起きる3つの原因

原因1:「123万円」「103万円」の基準がまだ頭に残っている

令和7年分の改正で、扶養親族の所得要件は48万円から58万円(給与だけなら収入123万円以下)に変わりました。そして令和8年分で、さらに62万円(給与だけなら136万円以下)に引き上げられています。

2年続けて基準が変わったため、従業員も担当者も「どの年の数字だったか」があいまいになりやすい状態です。

原因2:所得要件が変わったのは「扶養親族」だけではない

改正の対象は、扶養親族だけではありません。同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子、特定親族、配偶者特別控除の対象となる配偶者、勤労学生の要件も、あわせて変わっています(具体的な金額は次の章の表で確認できます)。

「扶養控除の欄だけ見直せばいい」と考えていると、配偶者控除や勤労学生の判定で見落としが出ます。

原因3:会社から従業員への案内がない

従業員の多くは、税制改正の細かい内容まで追いかけていません。「家族の収入が136万円以下なら、今年は扶養に入れる可能性がある」と会社から伝えなければ、異動申告書が出てくることはまずありません。

従業員は「聞かれていないこと」は申告しません。だからこそ、会社からの一言が控除の受け漏れを防ぎます。

令和8年分の所得要件と、担当者がやること

ステップ1:改正後の所得要件を確認する

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」に掲載されている所得要件は次のとおりです。

区分改正後(令和8年分)改正前
扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子合計所得62万円以下(給与のみなら収入136万円以下)合計所得58万円以下(給与のみなら収入123万円以下)
特定親族合計所得62万円超123万円以下(給与のみなら136万円超197万円以下)合計所得58万円超123万円以下(給与のみなら123万円超188万円以下)
配偶者特別控除の対象となる配偶者合計所得62万円超133万円以下(給与のみなら136万円超207万円以下)合計所得58万円超133万円以下(給与のみなら123万円超201万5,999円以下)
勤労学生合計所得89万円以下(給与のみなら収入163万円以下)合計所得85万円以下(給与のみなら収入150万円以下)

※ひとり親の生計を一にする子は「総所得金額等の合計額」で判定します。
※( )内の収入金額は、令和8・9年分の給与所得控除額に基づく金額です。給与以外の所得がある場合や、特定支出控除の適用がある場合は異なります。

ステップ2:具体例で「去年と結果が変わる人」をイメージする

令和8年分は、給与の収入金額が190万円以下の場合、給与所得控除額は74万円です(給与所得控除の最低保障額の引上げ)。改正前は65万円でした。

例:子ども(17歳・高校生)のアルバイト収入が年130万円(ほかに所得なし)の場合

改正後(令和8年分)改正前
給与所得の金額130万円 − 74万円 = 56万円130万円 − 65万円 = 65万円
所得要件62万円以下58万円以下
判定扶養親族の要件を満たす要件を満たさない

同じ年収130万円でも、令和8年分は扶養親族の要件を満たします。16歳以上なので、控除対象扶養親族として扶養控除の対象になります。

配偶者の場合も考え方は同じです。パート収入が年130万円(ほかに所得なし)なら、令和8年分は合計所得56万円で同一生計配偶者の要件を満たします。ただし、配偶者控除を受けるには、従業員本人の合計所得金額が1,000万円以下であることも必要です。

数字が少し動くだけで、「扶養に入れる・入れない」の結果は変わります。

ステップ3:従業員に案内を出す

年末調整の書類を配るときに、次のような一文を添えると効果的です。

今年(令和8年分)から、扶養に入れる家族の収入の基準が上がりました。ご家族の今年の収入(給与のみの場合)が136万円以下の見込みで、今年の初めに提出した扶養控除等申告書に記載していない方は、担当までお知らせください。

案内文を作るときは、国税庁の「年末調整がよくわかるページ」で今年の改正点をあわせて確認しておくと安心です。従業員から質問されたときにも、根拠を示して説明できます。

ステップ4:異動申告書を回収し、ソフトに反映する

該当する従業員から扶養控除等(異動)申告書を提出してもらい、給与計算ソフトの扶養情報を更新します。ここで大事なのは、家族の収入が「見込み」だということです。年末に見込みが外れて要件を満たさなくなった場合は、年末調整のやり直しが必要になることもあります。

なお、ここで説明しているのは所得税の扶養(税扶養)です。健康保険などの社会保険の扶養は、別の基準で判定します。「税の扶養に入れる=社会保険の扶養にも入れる」ではないので、従業員から質問されたときは区別して説明してください。

あわせて確認:23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除
令和8年分では、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例も新しく設けられました。扶養に入る家族が増えた従業員は、この特例の対象になることもあります。保険料控除申告書を受け取るときは、あわせて確認してください。

今日からできること

  1. 今日:年末調整の案内文に、所得要件の改正についての一文を入れる(ステップ3の文例をそのまま使えます)
  2. 今週:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の3〜4ページ(昨年と比べて変わった点)に目を通す
  3. 書類の回収期限まで:扶養家族が増えた従業員から異動申告書を回収し、ソフトの扶養情報を更新しておく

完璧に覚えなくても大丈夫です。「今年は扶養の基準が変わった」と従業員に一言伝えることが、いちばん効果のある対策です。

給与担当の方にとって、改正の年は従業員からの質問や申告書の確認が増える時期です。社内だけで対応しきれない場合は、年末調整を含めて給与計算を外部に任せることも選択肢の一つです。

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まとめ

  • 令和8年分から、扶養親族の所得要件は合計所得58万円以下から62万円以下(給与のみなら収入136万円以下)に引き上げられた
  • 年初に出された申告書は改正前の基準で書かれている可能性があるため、新たに対象になる家族は異動申告書の提出が必要
  • 担当者は案内文で従業員に知らせ、申告書を回収してソフトに反映する

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参考:

※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに、一般的な内容を解説したものです。
個別のケースについては、税務署・税理士・年金事務所・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

たかたん

この記事を書いた人

【運営者プロフィール】

▶ 2018年〜 介護系ソフトの勤怠・給与計算サポート業務
▶ 給与計算の資格を独学で取得
▶ 2022年7月〜2025年5月 給与奉行・法定調書奉行のコールセンター勤務
▶ 現在 独学で最新情報をアップデートしながら情報発信中

現場で数多くの「困った」に向き合ってきた経験をもとに、
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